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適合義務基準・誘導基準・ZEH水準の違い

確認日 2026-11-06

  • このページで分かること:建築物省エネ法が定める2つの基準(適合義務基準と誘導基準)の違いと、国土交通省の資料で「ZEH水準」と呼ばれる水準がどちらにあたるか。
  • 適合性判定で確かめるのは適合義務基準(省エネ基準)です。誘導基準は、より高い性能の計画を所管行政庁が認定するときの基準で、認定を申請するかどうかは任意です。国土交通省の資料は、住宅の誘導基準の水準を「ZEH水準」と表しています。

2つの基準とZEH水準の関係

呼び方根拠使う場面適合性判定との関係
適合義務基準(省エネ基準)建築物省エネ法 第10条、基準省令 第1条規模などの除外を除き、建築をするときに建築主が適合させる義務適合性判定で確かめる基準
誘導基準建築物省エネ法 第30条第1項第1号、基準省令 第10条エネルギー消費性能の一層の向上のための建築の計画の認定(申請は任意)認定は所管行政庁が行う。認定を受けた計画は、一定の場合に適合判定通知書の交付があったものとみなされる(第30条第8項)
ZEH水準条文の用語ではない。国土交通省の資料が住宅の誘導基準の水準をこう表す住宅の誘導基準・省エネ基準の引上げ目標を説明するときの呼び名判定の基準そのものではない

第10条の義務は「建築物エネルギー消費性能基準」への適合です。この基準は、法の定義(第2条第1項第3号)で、省令が定める構造・設備の基準とされています。一方、誘導基準は第30条第1項第1号で、エネルギー消費性能の一層の向上の促進のために誘導すべき基準と定められています。今回確認した第30条と基準省令第10条の条文に「ZEH」の語はありません。

認定の申請は第29条第1項で「できる」と定められ、義務ではありません。認定を受けた計画には、容積率の算定で、通常の床面積を超える分を延べ面積に入れない特例もあります(第35条第1項)。判定の対象かどうかは適合義務と適合性判定の対象、判定と認定・表示の制度上の違いは適合性判定と認定・表示の違いにあります。

出典: e-Gov法令検索「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」、e-Gov法令検索「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令」(確認日 2026-11-06)。

住宅の数値(6地域):省エネ基準とZEH水準

住宅は、外皮(壁・窓・屋根など建物の外側の部分)の断熱性能を表す外皮平均熱貫流率(UA値、小さいほど断熱性が高い。省令の定義は用語集)と、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で割ったBEI(小さいほど省エネ)の2つで見ます。国土交通省の資料が示す6地域の値は次のとおりです。

水準外皮(UA値)一次エネルギー(BEI)
省エネ基準(適合義務基準)0.87以下1.0以下
ZEH水準(誘導基準)0.60以下0.8以下(再生可能エネルギーによる削減量を含まない)

省エネ基準の外皮の値は地域の区分ごとに違います。同じ資料の単位住戸の外皮基準では、1・2地域が0.46、3地域が0.56、4地域が0.75、5・6・7地域が0.87です(8地域は外皮平均熱貫流率の基準がありません)。地域の区分は、基準省令第1条第3項で国土交通大臣が別に定めるとされています。ZEH水準の6地域以外の値は、このページでは扱いません。

出典: 国土交通省「共同住宅等の外皮性能の評価単位の見直し 及び 住宅の誘導基準の水準の仕様基準(誘導仕様基準)の新設について」(確認日 2026-11-06)。

非住宅の数値:用途別のBEI

非住宅はBEIを用途ごとに見ます。省エネ基準は規模でも分かれます。大規模(2,000平方メートル以上)は2024年4月から、中規模(300平方メートル以上2,000平方メートル未満)は2026年4月1日以降に省エネ適合性判定を申請するものから、次の水準になります。小規模(300平方メートル未満)は1.0です。

用途省エネ基準のBEI(大規模・中規模)誘導基準のBEI
工場等0.75以下0.6以下
事務所等・学校等0.8以下0.6以下
ホテル等・百貨店等0.8以下0.7以下
病院等・飲食店等・集会所等0.85以下0.7以下
  • 省エネ基準のBEIは、太陽光発電設備とコージェネレーション設備の発電量のうち自家消費分を含めて評価します(資料の記述は太陽光発電設備の扱い)。誘導基準のBEIは再生可能エネルギーを除いた値で、コージェネレーション設備の自家消費分は含みます。
  • 誘導基準には、BEIのほかに外皮(PAL*)の水準があり、BPIが1.0以下です。
  • 中規模の新基準は、施行日(2026年4月1日)より前に申請した計画と、その計画の変更申請には適用されず、改正前の基準を使います。

非住宅の評価方法の違いは省エネ基準の評価方法、提出図書は提出図書の一覧にあります。

出典: 国土交通省「大規模非住宅建築物に係る省エネ基準の引上げ及び分譲マンションに係る住宅トップランナー基準の設定について」(令和4年12月7日公布)、国土交通省「中規模非住宅建築物に係る省エネ基準の引上げについて」(確認日 2026-11-06)。

今後の引上げ目標

国土交通省の案内ページは、建物の省エネ基準を遅くとも2030年までにZEH・ZEB水準の省エネ性能へ引き上げる予定と説明しています(ZEBはZEHの非住宅版にあたる呼び名)。引上げ後の数値はこのページでは確認できておらず、載せていません。決まった時点の告示で確認してください。

出典: 国土交通省「省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。」(確認日 2026-11-06)。

このページで確認していないこと

住宅の数値は、国土交通省が令和4年に省令・告示の公布前に概要として示した資料によります。公布された告示の原文とは照合していないため、実際の設計では最新の告示を確認してください。ZEH水準の6地域以外の値、複合建築物の扱い、増築・改築の場合の水準、補助金や住宅性能表示の等級との関係は載せていません。個別の建築物がどの水準に当たるかの判断はしていません。

よくある質問

適合性判定では、誘導基準やZEH水準への適合も確かめますか。

確かめません。適合性判定で確かめるのは適合義務基準(省エネ基準)です。誘導基準は向上計画の認定に使う基準で、認定の申請は任意です(建築物省エネ法第29条・第30条)。

ZEH水準は法律上の基準ですか。

条文の用語ではありません。国土交通省の資料が、住宅の誘導基準の水準(6地域でUA値0.60以下、再生可能エネルギーを除いたBEI0.8以下)をZEH水準と表しています。

非住宅の省エネ基準のBEIは用途で違いますか。

違います。大規模・中規模では、工場等が0.75、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等が0.8、病院等・飲食店等・集会所等が0.85です。中規模は2026年4月1日以降に判定を申請するものから適用されます。